職場で、そしてパートナーと信頼関係を築くために

妊活を“ブランク”にしないコツ

仕事をしながら妊活を続けるのは、時に大変なこともあります。特に中堅社員の方は、職場で仕事の成果を求められ責任が重くなる時期と、妊娠を意識する時期が重なることが多いもの。社内で妊活への理解がまだまだ不足している中、どうやりくりしていくのか、悩ましいところです。また、通院が必要になった場合は、仕事と通院の両立に様々な困難があります。

働きながら妊活を続けるには周囲の理解とサポートがかかせません。今回は職場、そしてパートナーとの信頼関係についてお話します。

職場でどう伝える?どこまで伝える?

妊活の初期はそれほど大きな悩みではないかもしれませんが、通院が必要になってきた場合にまず悩むのが、「仕事を休まなくてはならなくなること」です。そして休む際、その理由をどう伝えるのか、誰に伝えるのかということ。

できれば、周囲に妊活をしていることを言いたくない。でも、何度か休暇を(時には突然に)取得するのですから、その理由を伝えるか伝えないのかは、職場での信頼関係を築いていく上で重要なポイントになります。

ここで、NPO法人Fineが以前実施した調査結果をご覧いただきたいと思います。

誰に話すのか話さないのか、状況によって様々ですが、「意外と周囲に話しているなぁ」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

まわりをよく見て。意外とあるかも、身近なサポート!

​妊活という、デリケートで個人的なことを周囲に話すことは、とても気をつかいますね。でも、もし、仕事をできるだけ続けたい、周囲の人と良好な関係を築いていきたいと考えるなら、誠意をもって事情を伝え、仕事上のフォローを感謝したり、自分も周囲の仕事をできる範囲でフォローするなど、お互いに働きやすい環境をつくる視点が必要です。

そして、ぜひ一度、まわりをよく見てみてください。もしかしたら、あなたの近くに、あなたのような課題を抱えている人がいるかもしれません。そして、あなたの力になりたいと思ってくれる人がいるかもしれません。職場の就業規則なども確認してみましょう。同じ部署の人でなくても、人事の人や健康保険組合など、社内の制度を熟知しているサポーターを探してみましょう。

「仕事を辞める」と決断する前に、利用できるサポートがないかチェックしてみてください。「サポートしてくれる人は誰もいない」と思っていても、あなたが声をあげることで見つかることもあります。
介護や育児、ガンの闘病など、様々な事情と仕事の両立に悩む人が社内にはいるはずです。本来、長時間勤務や休暇取得の難しさは、妊活に限らず社内全体の、そして社会全体の課題でもあるのですから。

「二人の時間」を大切に。パートナーと気持ちを共有。

妊活と仕事の両立に苦労しているということを、パートナーとどのように共有するかもポイントです。「なかなか男性には理解してもらえない」「話してもムダ」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、出産後、子育てをしながら働くことを考えると、夫婦お互いの協力体制はとても大切です。妊活はそこに至る前のステップ。今から協力体制や信頼関係を少しずつ築いていきましょう。

妊娠というと、どうしても女性側の負担が大きくなりがち。しかし、実は男性の側も「どう自分が関わるべきか」「何かフォローをしたい」と思いながらも、何ができるのかわからずに悩んでいることもあるのです。子どもの有無に関わらず、自分達らしい夫婦像について、折に触れて共有しておくことが必要かもしれません。

もし、二人の間で話がぐるぐる回ってしまう、なんだか感情的になってしまう、などという時には、ぜひ、カップルでのカウンセリングも利用してみてください。前回の「様々な心理サポートを使いこなそう」でも書きましたが、いつもの家の中ではない、第3者のいる場で、長い夫婦生活についてじっくり考えを共有することは、その後の二人にとって貴重な時間となるのではと思います。

プロフィール

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Real name: 
中辻 尚子
中辻 尚子

大学卒業後、販売企画や、研修企画業務に従事。「計画的」に人生を歩んでいた・・・はずが、不妊治療をきっかけにキャリアの見直しを迫られることに。
現在は、カウンセリングや、講演、ワークショップなどを通じて、不妊当事者への“ライフキャリア・サポート”をキーワードに活動中。
2014年女性の健康とワーク・ライフ・バランス アワード 奨励賞受賞
ハチドリキャリア:http://www.hachidori-c.com/index.html

  • NPO法人Fine認定 不妊ピア・カウンセラー
  • 米国CCE.認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー
  • 不妊カウンセリング学会認定 不妊カウンセラー
  • NPO法人メノポーズ協会認定 女性の健康推進員

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