「ストレス」を知ろう

鍼灸

みなさま、お久しぶりです。コラムの更新が遅くなってしまいまして申し訳ございませんでした。(^_^;)
前回までは自律神経の働きや、子宮・卵巣に対する鍼灸治療のお話でした。
今回は妊活と関係の深い「ストレス」についてお話です。

そもそもストレスって何?

第2回目のコラム「不妊鍼灸~その理論と根拠~」で自律神経についてご説明したとおり、私たちの体は、自動的に身体の中の環境を保つように無意識ですが頑張っています。このことを専門的には「生体の恒常性を維持している」と言います。

例えば、寒い所にいると鳥肌が立ちガタガタと体が震えます。これは無意識に体を温めようと自動的に体が反応している証拠です。
このように身体に反応を起こした原因をストレッサーと言い、起こった現象をストレス反応と言います。例えの場合「寒さ」がストレッサーで「鳥肌」や「震え」がストレス反応ですね。

ストレスは「悪いモノ」というイメージが強いですが、適度なストレスのおかげで、私たちの身体は反応を起こすことができるのです。
つまり、私たちが目標に向かって努力したり、やる気が刺激されたりするのは、ストレスのおかげもあるというわけです。

「ストレス」という言葉の生みの親であるカナダの生理学者のハンス・セリエ(1907-1982)は「ストレスは人生のスパイス」という言葉を残しています。適量であれば様々なスパイスを味わうことで料理に深みがでます。過剰になれば料理全体を壊してしまいます。まさに身体に対するストレス反応を見事に言い表した言葉だと思います。

ストレス反応には個人差がある

同じくらいのストレッサーの刺激を受けても、人によりストレス反応には差があります。人はそれぞれストレスの受け止め方が違います。過去の経験によって対処法が身についていればストレスに対しての心構えも違いますよね。

例えば、妊活治療中の注射をストレッサーとして考えてみましょう。注射が嫌いな人にとってはとても辛いストレスですが、注射の痛みをそれほど苦痛に感じない人にとって注射はそもそもストレスにはならないのです。また、繰り返し注射を経験することにより注射の痛みは直ぐに収まることを理解すると、初めての注射で「この痛みはいつまで続くのかしら?(T_T)」という不安を抱えている状態よりもストレスの程度は低いものとなります。

つまり、ストレスというのは受け止め方やその後の対処方法によってある程度コントロールできるものだと捉えることができます。
この受け止め方のことを「認知的評価」と言い、対処方法のことを「ストレス・コーピング」と言います。
皆さんの周りにも「あの人、凄くメンタル強いなぁ〜」っていう方がいませんか?もしかしたら認知的評価とストレス・コーピングが上手なのかもしれませんね。でも、このように理屈で理解できても上手く対処できないのがストレスの厄介なところですよね。

ストレスについてのお話は長くなってしまいますので、次回のコラムで妊活とストレスについて続きをお話させていただきますね。

プロフィール

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木津正義(きづまさよし)
木津正義(きづまさよし)

明生鍼灸院 副院長
一般社団法人JISRAM(不妊鍼灸ネットワーク:http://www.kodakara.org/) 学術部 部長

略歴
1997年 明治鍼灸大学 鍼灸学部 卒業
明治鍼灸大学附属病院 卒後研修生として主に内科学教室にて研修
2000年 旭川リハビリテーション病院に勤務
2002年 明生鍼灸院 勤務 現在に至る

学会活動
全日本鍼灸学会 会員(認定鍼灸師、広報部員)
日本プライマリ・ケア連合学会 会員
日本生殖医学会 会員

専門分野
婦人科疾患 不妊症 不育症 周産期のマイナートラブル